納めなければいけない住民税額が記された住民税決定通知書。
実は、ふるさと納税が適切に行われているのか、最終チェックが可能な重要な書類なのです。
そこで今回は、ふるさと納税で重要になる住民税決定通知書の見方を解説します。
正しくふるさと納税が行われているのか、寄付金額と併せて記載された金額をチェックしてくださいね。
目次
住民税決定通知書が届く時期
住民税決定通知書とは、前年度の所得から今年度の住民税の確定した税額が記された書類です。
例えば、2019年の住民税は2018年の所得をもとに計算されています。
また、住民税は確定申告や年末調整の結果をもとに計算されるため、実際に私たちが住民税決定通知書を受け取るにはタイムラグがあります。
そのため、住民税決定通知書が私たちのもとに届くのは5~6月頃で、会社に勤めている人は会社から、個人経営者などは自治体から受け取ります。
ふるさと納税がちゃんとできているかはココをチェック
それでは、ふるさと納税が正しくできているのか、実際に住民税決定通知書を見ながら確認方法を解説していきますね。
2つの税額控除欄を要チェック!
ふるさと納税を行うと、住民税の控除と所得税の還付を受けられるため、住民税決定通知書をチェックすることふるさと納税が正しくできているかを把握できます。
住民税決定通知書にはいくつか控除金額を記されている欄があり、ふるさと納税で注目するのは「税額控除」という欄です。
自治体によって通知書の様式が異なりますが、市町村と道府県それぞれに項目があるため両方をチェックしましょう。
ただし、この税額控除欄には約2,500円の調整控除額が追加して記載されています。
そのため、2つの税額控除額を足し、その合計金額から2,500円を差し引いた金額が「ふるさと納税の合計寄付額-2,000円」と同じであれば、正しく控除が受けられていると分かるのです。
控除額をチェックする際の注意点
税額控除額の欄は、ふるさと納税による控除額を知るための欄ですが、実は所得控除以外に控除される合計金額が記載されています。
例えば、住宅ローン控除や株式などの配当控除なども、この欄に記載されます。
つまり、住宅ローン控除などがある場合には、ふるさと納税への寄付金額よりも高い金額が記載されるのです。
そのため、他の控除がある場合には正確なふるさと納税による控除学が分からないため、自治体などへ問い合わせる必要があります。
ワンストップ特例の場合と確定申告した場合では違う点はある?
ふるさと納税の控除制度を利用するためには、ワンストップ特例と確定申告、2つの方法があります。
実は、どちらの制度を用いて控除するかによって、住民税決定通知書の表示金額が異なるため注意が必要です。
- ワンストップ特例:全額が住民税から控除される
- 確定申告:住民税と所得税から控除(還付される)
2つの制度には上記のような違いがあり、ワンストップ特例を使用した場合は「税額控除」に記載されている合計金額が「ふるさと納税の合計寄付額-2,000円」と同じであれば問題ありません。
一方で、確定申告を利用した場合には、所得税の還付が受けられるため、その分の金額が控除金額から差し引かれています。
そのため、「税額控除額」と還付された金額が「ふるさと納税の合計寄付額-2,000円」と同額であれば正しく控除されていると分かります。
控除額と寄付金額が異なるケースは?
もし、税額控除額の欄とふるさと納税で納税した金額が異なる場合、どのようなことが考えられるのでしょうか?
ワンストップ特例の申請をしていない
控除額が少ない、もしくは控除されていない場合に考えられるのが申請をしていないことです。
ワンストップ特例は確定申告が必要のない人のための制度ですが、寄付をした自治体から受け取った「寄付金受領書」をその自治体へ返送しなければいけません。
また、申請用紙とともにマイナンバーなど本人確認書類などを、寄付をした翌年の1月10日までに提出しないと控除されません。
そのため、申し込んで満足してしまい、ワンストップ特例の申請をしないまま住民税が確定してしまった可能性を疑いましょう。
寄付先の自治体が5ヶ所以上
ワンストップ特例の申請をしていても控除されていないケースがあります。
この場合は、5ヶ所以上の自治体に申し込んでいることが原因です。
ワンストップ特例が適用されるのは、5ヶ所までの自治体に寄付をした場合であるため、適切に申請をしていても5ヶ所以上の自治体に寄付をしていると控除は適応されません。
また、この場合は確定申告が必要となり、ワンストップ特例だけ行い確定申告を忘れていることも原因となりますよ。
限度額の上限を超えている
ふるさと納税は寄付をした金額だけ住民税の控除を受けられる制度ですが、住民税全額が控除されるわけではありません。
前年の収入に応じて控除額の限度額が決められており、この上限額を超えた分は控除されません。
特に、控除の上限は住民税よりも低く設定されているため、思いがけずオーバーしてしまうことも多いです。
つまり、寄付をしすぎたため実際の寄付金額よりも控除額が少なくなっているのです。
寄付前には必ず限度額を調べておき、ムダのない範囲で寄付を行うように気をつけましょう。
他の控除額が高額な場合
ふるさと納税の控除額は単独ではなく、他の控除額と合計して控除されます。
例えば、住宅ローン控除などですでに住民税が100%控除されている場合、ふるさと納税は限度額内であっても控除されません。
そのため、限度額と合わせて他の控除額を調べておき、実際に寄付が可能な金額を調べておくことが大切ですよ。
寄付者が扶養家族だった場合
稀に起こるケースですが、控除されるのは寄付をした人に住民税の納税義務がある場合です。
したがって、扶養家族である場合など、寄付者が住民税を納める必要がない場合には控除されません。
また、一定の収入があっても扶養工場内である場合にも、税金がかかりませんのでふるさと納税による控除の対象外です。
ふるさと納税は誰でもできる制度ですが、対象外の人もいることをしっかりと覚えておきましょう。
住民税決定通知書でふるさと納税の最終チェックを!
住民税決定通知書は納税額だけ確認してしまいますが、税額控除額欄をチェックすることで正しく納税が行われているのか確かめることができるのです。
特に、ワンストップ特例などを活用する場合には、適切に手続きを行っているのかどうかを知るためには忘れずにチェックしましょう。
そして、寄付金額と異なっている場合には、しっかりとその原因を究明して同じ間違いを繰り返さないように注意して寄付をしてくださいね。